幼稚園では言語、音楽、制作などの『表現活動』を行っています。表現活動において大切なのは「表現は心を伝えること」と捉え、例えば音楽会で歌をうたう時「どうしたら、観ている人たちに伝わるのだろう。」と子どもたちと話し合っています。作詞家・作曲家のひととなりや、歌ができるまでのいきさつなども、できるだけ子どもたちに伝えるようにしています。また、「このうたの一番大切なところはどこだろう。」など、うたの内容も子どもたちなりに解釈するようにしています。また「伝える」という観点からどんな歌い方をしたら聴いている人たちに伝わるのかを考え合い発声練習をしたり、声の大きさを考えたりもしています。 その基本的な考えは、絵画制作での表現、言語における表現でも活動への取り組みの基盤としています。 自分のイメージしたことを表現するためにはその方法も身につけなくてはなりません。嫌な事があった時それを伝える術が習得できていない小さな子どもたちは、泣いて訴えたり時には叩いてその気持ちを伝えようとします。しかし、ことばの獲得やそれを伝える文章力等が育ってくるとそうした様子も見られなくなってきます。ことばに幼児音などが残っていると相手は聞き取りにくく、伝えたいことが伝わりません。ことばの発声を明確にするために言葉遊びの中で正確な発音を教師がしながら、それをゆっくり真似をする取り組みなども大切な経験として行っています。また、文章を構成する5W1H「いつ(When)どこで(Where)だれが(Who)なにを(What)なぜ(Why)どのように(How)」を意識して発表したり(経験発表)文章を考えたりします。(言語を中心とした生活発表会・いつ どこで だれが なにをした それはなぜノートを利用した文章作りなど)
また、対話型の活動をすることで、自分の意見をわかるように説明する経験を積み重ねるようにしています。
< 年中 3学期の事例 > 当番活動をグループで行っていますが、3学期になったので、新しいグループ決めをすることにしました。メンバーが決まり、グループの名前をなににしようかと話し合いを始めました。ほとんどのグループが名前を決めていく中、なかなか話がまとまらないグループがありました。H君は『ベンガルトラ』がいいと言い、後の4人は別の名前がいいと主張し合っていました。話し合いが進展しないので「これがいい!と言うだけでは決まらないと思うよ。なぜ、その動物をいいと思うのかをよく説明して、他のお友だちにも分かってもらわないと…。」と提案しました。H君は一生懸命、説明しましたが、「だって、怖そうだもん。」と他の4人。「先生、決まんないよ~。」とH君が助けを求めてきたので「それじゃあ、H君もこれがいい!と思えるもので、みんなもいいと思えるものを別に探してみたら?」と促すと、5人で動物図鑑に頭を寄せ合い、話し合いを始めました。しばらくして、「決まったよ~。」5人揃って晴れやかな顔で知らせに来てくれたグループ名は『ジャイアントパンダ』でした。 こころが伝わる喜びを子どもたちが実感し自己表現を積極的に出来るようこれからも取り組んでいきたいと思います。 |